たびっと倶楽部の旅ふれあいマガジン
24号H15.3.14発刊
 
 北極点への船旅
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ハプニングも経験の内?
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 美しきトスカーナ


ハプニングも経験の内?
●文・イラスト  大場 伸之 
1959年東京生まれ、画家。草花や風景を題材とした絵を制作する、又、広報誌(電源開発)や雑誌などの表紙絵も担当、個展を中心とした制作活動を続けている。
 

今年初めて海外旅行へ行くことになった人と先日話をしていた。
なにせ初めての経験なのでいろいろな不安はあるのだが、やはり言葉が通じないのが一番の心配事らしい。
「特にレストランでは問題ですよね、何とかなりますか」と尋ねられて大丈夫大丈夫と言ってはみたものの、私自身も海外旅行ではハプニングの連続、こまった事は何度も経験をしている。
あれは南仏エクス・アン・プロヴァンスに行った時のこと。夕食に入ったレストランでメニューを見ても何が書いてあるのかさっぱりわからず悪戦苦闘をしていた。
注文をとりに来たギャルソンは英語がまるでダメ。こちらがへたに片言の仏語でケスクッセ?(これ何ですか)などと聞いてしまったので「おっ、こいつ仏語を少しは話せるな」と思われ、ベラベラと喋り出されてしまい、ますます理解不可能な状態に陥ってしまった。
隣のテーブルで食事をしている人の料理を指さして「アレと同じものを」という方法もあるのだが、あいにく隣のテーブルの人もメニューとにらめっこ中。
時間だけが刻々と過ぎてゆき、もうどうしようもないので当てずっぽうにメニューの中の一品をこれだとばかりに指さした。
その料理の名にギャルソンは一瞬「えっ!」という顔をしてそれから笑いながら「ウィ、ムッシュー」と言い厨房に姿を消した。
そして出てきた料理はなんとゴツゴツと骨ばかりが入った奇妙なシチュー、味も私としては美味しいとは言いがたい不思議なものであった。
本当にあれは何という料理だったのか。
「まあそれでも夕食は食べられたから、言葉ができなくても何とかなりますよ」と私は笑って言ったが、初めて海外へ行くその人は「何とかなっていない」という表情で私を見つめていた。