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![]() エンペラーペンギンの群れ。 さまざまな種類のペンギンが棲息する |
![]() 一面氷の世界に輝く太陽がまぶしい |
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| 私が中学生の時、先生から聞いた話では、南極点征服がスタートしたのは1911年、ロス島からノルウェーのアムンゼン隊と英国スコット隊の2組だった。犬ぞりやスキー、雪上車で極点まで約1400km。アムンゼン隊は12月14日に南極点に立ち、ノルウェー国旗を立てた。一方、スコット隊は約一ヶ月遅れの翌年1月17日、ノルウェー国旗の横に英国国旗を立て、南極点を征服したことを証明した。1912年、日本初の南極探検白瀬隊はロス棚氷で岩石、鳥類の調査や地理、海岸、雪氷の資料を集めていた。 |
| この話を聞いたとたん、私も南極探検家になることを心に誓っていた。 私の南極探検が実現したのは1966年。一般民間人を募集し、初の南極半島探検クルーズを催行したのは、ニューヨークのリンドブラット旅行社。世界中から一生に一度でいいから南極大陸に立ちたいと思い続けてきた50名が集まった。アルゼンチンの南端ウシュアイアでチャーターした軍艦に乗船。アルコールですっかり寝込んでいる間に、暴風圏のドレイク海峡を無事通過。現地は想像していた険しい風景ではなく、三方を氷河と氷山に囲まれた中にいると、名前通りのパラダイス湾だ。海中火山が盛り上がってできたデセプション島では、83度以上の温泉が噴き出し、そこで海水浴を楽しむ。想像以上の素晴らしい体験の後、さらに、ル・メール海峡の左右の氷壁が頭上に聳える風景の美しさとスリルを体験すると、もっと深く南極を知りたいという熱が高まり、37年間に16回訪れることになった。そのうち、2回はロシアの砕氷船で大陸一周の探検クルーズに参加。毎回、新発見と感動がある。これからも命のある限り、南極通いを続けるつもりだ。 |
南極大陸は、日本の37倍の広さを持ち、大陸氷の一番厚いところは約4000m。富士山がすっぽり埋まってしまう。平均しても約2000mある白い氷の大陸。この氷も大陸の中心部から海に向かって一年間に2kmから500m移動している。海に押し出された氷は、氷同士がぶつかったり、風や波でいろいろな形に変化していく。南極海は、自然が造り出した氷の芸術作品が浮かぶ大ギャラリーである。
マスコミは南極の温暖化を騒いでいるが、この10年、大陸沿岸は海氷が厚く、私たちの砕氷船は進行を妨げられ、度々、予定の変更を強いられてきた。 また、大陸の外側は暴風圏が万里の長城の役目を果たし、多くの探検家を寄せつけなかった。当然、私たちも暴風圏に突入すると、2万tの船でさえ大きく上下左右に揺れ、食事の皿が飛んだり、キャビンの中のものが床を走り回ることもある。南極探検するならば、この船酔いの洗礼を受けなくてはならない。 |
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![]() 高さ約30mの氷山。いたるところで見られる |
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クルーズには3つのコースがある。 観光コースはおたまじゃくしの尻尾のような形をした南極半島と南極大陸の間は亜南極圏、ここの島々は珍しい植物やアホウ鳥、岩とびペンギンやキングペンギンがいる。一番ポピュラーなアデリーペンギンに、砂浜にゴロゴロしているアザラシたち。20世紀初め、南極周辺で鯨を捕獲し油を絞っていた英国の工場跡もある。温泉の出るデセプション島、南極の景勝地といわれるパラダイス湾やル・メール海峡と観光地へは、アルゼンチンやチリから2000〜4000tの船が数隻運行している。 単なる憧れ以上の探検家志望者は、探検コースのオーストラリア、ニュージーランドから出港する探検船、ロシアの砕氷船(2万t)に乗船するのがいい。各国の基地で、学問的な勉強と各方面の研究者の話を直接聞くことができる上、現地での体験を通して大自然の不思議さを感じられるだろう。 |
| 真っ直ぐ南下すると、右手にヴィクトリアランドの南極横断山脈の襞に沿って、美しい氷河がカーテンのように壁をなして海に落ち込んでいる。その中に茶色の谷が見えてくる。ドライヴァレーと呼ばれ、池の水は冬でも凍ることがなく、落ちてくる氷河は解け、冬でも雪が積もらない。この不思議な谷は、日本人学者と各国の研究者によって研究が続けられている。 この谷の向いにあるのがロス島。富士山のような美しい姿をした活火山エレバス山(3794m)は、かすかに噴煙をたなびかせている。麓には米国の近代的なマクマード基地、ニュージーランドのスコット基地だけでなく、探検の歴史遺産ともいえる、スコット、シャクルトン越冬小屋が保存され見学することができる。石油ランプ、暖房用ストーブで料理をし、アザラシの毛皮をベッドに敷き、暗い冬を乗り越えてきた、当時のそのままの様子をうかがえる。 この10年間に2回の南極大陸一周クルーズ(66日間)を体験した。いままで想像もできなかった地形や大陸氷の不思議を見たり、大陸に点在する各国基地で、大陸の厚い氷の中から地球の数万年、数十万年前の活動の様子や、ひいては地球、宇宙のしくみなどを聞き出そうとしている。 |
このクルーズを成功させる2万tの砕氷船には、2機のヘリコプターが搭載され、私たちを目的地に運んでくれると共に、広大な氷の大陸のパノラマを見せてくれる。 船内生活はすべて英語。朝食はブッフェスタイル。昼、夕食はフルコースで毎日メニューが変わり、飽きさせない。 一日2〜4回、各専門家によるレクチャーが催される。乗客も各自数十冊の本を勉強してきて自分の意見を交換する。夜のバーは各自の情報交換の場。金融、エレクトロニック、サービス、政治、芸術の専門家たちはオフレコも含めてオープンな話で賑わう。この場の話は決してインターネットで入手できない情報ばかりだ。 そして下船の時には、次回の再会を誓いあうのだ。
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