
|
 |
4
下町の食堂で頼んだ食事は、どれも美味しく、安い。そういう安上がりな所にしか行かなかったから、中級、上級のことは分からないけれど、庶民の食を味わうっていうのも、「香港で食べてる」気持ちを盛り上げる。取り皿の上に小さな椀、茶碗と、長くて重いプラスチック製の箸。料理を頼むとかび臭いプーアル茶が白磁のポットで出される。
日頃イメージしている中華料理よりはるかに薄味、ゴロッと大きな野菜、柚子や生姜などの薬味をうまく使った料理は、どれも新鮮な味で良かった。ただ、どれも、どの店でも量が多くて、残念。私は、1/3の量でもっといろんな種類を食べたかった。食いしん坊なのだ。
翌日、家族そろって深 で国境越えを体験。夕方には、九龍に戻り大きな看板が突き出た道を歩く。クリスマスの頃から飾られているイルミネーションが点灯されだすと、あたりが徐々に暗くなり、街が夜の顔に変わっていく。今回が初海外旅行の私の母、夜眠れない、なんて言っていたけど、楽しかったと言っていた。ゲン君の母上のコミュニケーション能力には驚かされた。大阪弁で喋っているのに何ひとつ不自由がなさそうなのだ。皆、一緒に来られて良かった。
|
 |
スターフェリー乗り場に辿り着いた頃、空はすっかり暗くなっていた。この日どうしても皆に見せたかった香港島の夜景がくっきりと浮かび、みごとな眺めだ。
あの夜景は、忘れない。深く澄んだ空と水面に浮かぶ光の一粒一粒が、優しく、静かに輝いていた。
今、大阪で生活をしていて、旅の影響がいくつか根付いている。私たち夫婦は、あの重くてつかみ辛い長箸で食事をし、2つ20円ほどで買った小ぶりのレンゲを愛用している。中国茶は湯呑みで飲むより、お猪口ほどの量をちびちび飲むほうが、断然美味しいなどと思い込んで、楽しんでいる。
そして、テレビであの夜景が映し出されると、「面白かったなぁ」と、食い入るように見入ってしまうのだ。
お茶と言えば、あの苦いお茶。あの後、2人して大変だった。ものすごい利尿作用があったようで、同時に急にトイレに行きたくなって大騒ぎだった。鳥肌が立つほどトイレに行きたいのが、あの苦いお茶のせいかと思うと、おかしくて笑いが止まらず、トイレを探し右往左往した。
|