たびっと倶楽部の旅ふれあいマガジン
27号H15.12.1発刊
 

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旅慣れた男の一人旅に「割勘詐欺」

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旅慣れた男の一人旅に「割勘詐欺」
●文・イラスト  込山 俊朗
北海道大学文学部卒。(株)エスプリ代表取締役、日本旅行作家協会会員、フランス美術家協会会員、(者)外国特派員協会会員、(者)日本ホビー協会会員。
 
1週間や10日間の海外旅行では、さほど気にすることはないかもしれませんが、20日間以上旅をして、ちょっぴりホームシックになりかけた頃、ローマやナポリで引っかかりやすいのが「割勘詐欺」。午後4時を過ぎた頃、散歩の途中で事件は発生します。海外旅行に自信をもって、英語をまぁまぁ喋れる男性の旅が終わりに近づいた頃です。街角のバールで旅慣れた風情でエスプレッソを飲んでいる時、隣の席から声がかかります。「スクージ! シニョール」・・・。振り向くと上品な身なりのハンサムな紳士、マルチェロ・マストロヤンニ風、年は40歳前後、最初の掛け声はイタリア語と決まっています。気安く日本語は使わないところが憎いのです。こちらがイタリア語堪能でないとみると、英語で自分の名を名乗り、「日本の何処から?」を上手に尋ねてきます。東京、大阪はすごく詳しく、仙台と答えると「七夕祭り」が出てくるほど。次に有名人の話題が登場します。サッカーの中田、中村、競馬のデムーロ、オペラのパバロッティ・・・。日本の政治家や経済人の名刺を見せて、日本びいきを強調します。この辺まで会話が進むと彼の思う壺。「もっと話したいので場所を変えましょう」。2軒目はヴィーノかビッラ。こちらの得意の話題に相槌を打ちながら、彼の持論も飛び出します。勘定は5ユーロ程度をもちろん割勘で。そこで問題のもう1軒。スプマンテのボトルを1本、やがて彼の女友達が偶然のように現れ、さらに1本となるかも知れません。片言英語で話が弾み、ほろ酔い気分になった頃「クァントコスタ?」1000ユーロの勘定書を持ってきます。「高すぎる!」と彼は店長に文句を言って、真顔で掛け合った結果800ユーロに値切ってきます。ここでももちろん割勘。店とグルである事は最後まで隠し通し「いい子」のままで「アリベデルチ!」。400ユーロ(約5万円)の散財となるわけです。イタリア男の努力に騙されてみるのもいいのかもしれません。