Tabit たびっと倶楽部の旅ふれあいマガジン
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旅の事件簿
 
種村 国夫
文・イラスト 種村 国夫
イラストレーター・旅行作家。「週刊文春」、「船の旅」、スポーツ紙などに連載多数。日本旅行作家協会では、イタリア部長を務めるイタリア通。


カサブランカにて「ミントティーにまつわる小っちゃな事件」

ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの悲恋映画と言えば『カサブランカ』だ。映画の舞台となり、「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(時の過ぎ行くままに)」のテーマソングと共に観る人を魅了した「バー・カサブランカ」が、カサブランカ市内のハイアット・リージェンシー・ホテルの1階に再現されている。このバーは映画の中では「Rick's Cafe American」と呼ばれていたのを思い出す。リックに扮したボガードの渋い演技と、この頃が美貌のピークだったバーグマンの競演は、洒落たセリフと共に、何度観ても新鮮さを失っていない。映画の中だけに登場し、まったく架空のものなのに、本当のものより本物らしい名所と化したものに、熱海の「お宮の松」や、雲仙の「真知子岩」などあるが、この「バー・カサブランカ」も昔からそこにあったかのように、訪れる客を温かく迎えてくれる。
 カサブランカという土地は、暑さと乾燥のアフリカらしさにみちみちた所で、市内を散策して帰って来ると、ノドがカラカラになってしまう。そんな時、この「バー・カサブランカ」にはとっておきの飲み物がある。ミントティーだ。白い制服を着たバーテンダーが、1mくらい上から注ぎ入れるミントティーは、乾いたノドを甘くスキッと癒してくれる。
 と、そこまででモロッコの想い出を止めておけばよかったものを、ミントティーを買って帰ろう!と考えたのが運のつき、旧メディナの中を彷徨い歩くハメになってしまった。ミントティーがティーバッグになって売られていると思い込み、メディナの中に居るモロッコ人にミントティーはどこで売ってるの?と尋ねると、ある人は普通のティーバッグしか売ってない店に案内。又ある人は、野菜市場にあるハーブ売場の
イラスト
生ミントの山の前まで案内し、これだと指差す始末。そして結局、ミントティーのティーバッグにはお目にかかれなかったのである。後になって、生ミントを普通のティーバッグと共に煎じたのがミントティーだと解ってガックリ…トホホ。