Tabit たびっと倶楽部の旅ふれあいマガジン
31号H16.12.1発刊
Tabit31  
地球の旅日人
南仏プロバンスへ

ニースの思い出
第7回ハービス旅大賞発表
紀行エッセイ部門 佳作 常に旅にあり
旅行フォト部門 佳作 ポルトガル モンサラーシュ
旅先で出会った 名作の舞台
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 「ポルトガルは12月が雨期である」ということをあらためて思い知らされたのは、撮影に出た後だったが、モンサラーシュに行ったその日は運良く太陽が顔を出していた。30分もあれば1周できてしまうというその村には絶対何かあると予感していた。
 まず、村の入り口に門番の人形を発見。何だろうという疑問と期待を胸に村に入ると、すぐ右に犬を連れたおじいさんとなぜか白い人形が座っていた。その前にある水飲み場には、真っ白な羊たちと羊飼いがいた。夢中で写真を撮りながらさらに先に行くと、いるわいるわ。そこかしこに白い人形が。教会の前でお祈りをしていたり、親子で手をつないで散歩していたり、馬に乗っていたり、水をくんでいたり……。もう驚きとおかしさで一杯だった。どうやって準備をしたのだろうと想像するととても楽しくなった。時期が過ぎたらどこに保管されるのか、来年も同じものを使うのだろうか、何でできているのだろう、どうやって作るのだろう、などなど疑問はつきない。

多分クリスマスに関係する行事なのだろうと予想をしただけで、ちょっと横着しているのとあれこれ想像するのが楽しくて、本を調べたり人に聞いてみるなどしていない。村人と人形が共存している不思議な光景は、平和で穏やかでそして思わず笑ってしまうようなおかしさがあった。
 翌年の4月にもう一度訪ねてみたが、人形の姿はなくのんびりとしたいつもの村に戻っていた。もうないだろうと思いつつも、ないとなるとちょっとがっかりしたが、見覚えのあるおじいさんが散歩をし、見覚えのある犬が寝転がる姿を見るのは嬉しかった。当たり前だけど変わらず生活しているということに、何故だかとてもほっとした。
 毎年クリスマスの時期が近づくと、今年も飾っているのかな、配置は前の年と同じなのかな、新しい人形が加わったかななどと気になって、あの小さな村に一人思いを馳せるのである。


 

1 村のあちこちに白い服をまとった人形がいた。村人は当然のごとく、特に気にもとめていない様子
2 村人と人形が共存している不思議な、おかしな午後の1コマ
3 思わず人間と見間違ってしまうかも。羊の様子も1頭ずつ違っていておもしろい
4 水道でかめに水をくむ女性。それにしても細かい動作までよくできている
5 水筒を首からさげ杖を持った羊飼いが数頭の羊を引き連れていた

■作者Profile 1974年生まれ、東京都在住。会社員、編集業