Tabit たびっと倶楽部の旅ふれあいマガジン
31号H16.12.1発刊
Tabit31  
地球の旅日人
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ニースの思い出
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旅の事件簿 失敗談・体験談
 
小野田 正利
文・イラスト 小野田 正利
日本旅行作家協会会員。
接骨医で、柔道の元国際審判員。現在は国際審判相談役として柔道界に貢献している。

ニースの思い出  

 それは1996年12月30日から正月の7日までの、妻と二人で参加した地中海旅行ツアーの出来事です。
 ニース、コートダジュールの海岸というと、『男と女』という映画で、主人公が冬の海沿いを車に乗って女に会いに行き、自動車レースに出場するロマンチックな物語を思い出します。
 その日ニースに着いたのは夜の8時頃。寝るには少々早いので、ホテルの周りを散歩しようと妻と出かけました。まだ開いている店をのぞいたりした後、売店でピザ等を買って食べながらブラブラ歩いていた時のことでした。人通りの少ない少し狭い路地に入り、チョット淋しい所へ来たなと思って前を見ると、若いジプシー女が地図を持ち道をたずねるように、私達に近づいて来ました。
 私は、仏語は分からないので、困って立ち止まると、彼女は持っている地図を広げて体当たりしてくるではありませんか。驚いた私は、咄嗟に彼女を突き飛ばしてしまったので、彼女は2mぐらい後ろにのけぞりました。身の危険を感じた私と妻は、足早にその場を離れました。
 走りながら妻が後ろを見て、「あの女が追いかけてくるわよ」と言うので、振り返ると、彼女は財布のようなものを持ってこちらに手を振っているではありませんか。ふと、懐に手を入れてみると革のカバーの付いたパスポートが無くなっていることに気がつきました。
 そうして私は彼女に礼を言い、パスポートを返してもらうとホテルに戻りました。
コレが無くなっていたらフランスに足止めされ、楽しい旅行も台無しだなと妻と話しました。人の良い妻は、チップをあげればよかったのにと言いました。
 でも、すったはずなのに何で返してくれたのかな?
未だに謎である。