地球の旬−秋 カザフスタンへの誘い 

 カザフスタン・ビザが取れるまでの間、暇つぶしに万里の長城へ行った。公共バスを調べる気力は失っていたので、36元(1年前で約500円)の1日ツアーを申し込む。最初の目的地は、北の関所であった居庸関長城だ。階段が急なうえ、幅も狭いため、赤や青のツアー帽をかぶった中国人観光客が塀からこぼれ落ちんばかり。あっ、今日は日曜日か! 旅も長くなり、すっかり曜日感覚を失っていたらしい。集合時間と戦いながら、人を掻き分け、必死の思いで登って降りる。抜けるように青く高い空の下、いい運動だ。
 次の目的地は、八達嶺長城。もっとも“らしい”長城である。そんな知名度に見合うように、ここもやはりすごい人。思ったより角度のきつい斜面を、「どこまで行こうか」考えながら、ただただ登る。ふと眼をやると、山は一面紅葉色。そうか、今は紅葉の季節だった! 日本文化のオリジナルである中国が、紅葉を愛でないわけがない。北京市内の路上でも、紅い葉っぱがラミネイト仕立てで売られている。写真を撮りまくり、大騒ぎする家族連れや団体客をよそに、絶景に眼を見張った。壁にもたれ、しばらく休憩。鼻をすすぐ冷たい空気が、とても気持ちよかった。
 中国の自然は、押しが強い。秋の青・赤・黄は、人工臭のきつい万里の長城を取り込んで、それはゴージャスな一幅にしてしまう。そこに居合わす贅沢な偶然。秋のおかげで、とても得した気分になれた。(陽)


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